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第2日
パルマハム Prosciutto di Parma

Prosciutto di Parma
店頭のパルマハム

写真をクリックすると大きな画像と詳細な説明が見られます
*印の写真はパルマハム協会のパンフレットから転載



 まず、パルマハム協会の人から詳細なレクチャーを受けた。
 生ハムはイタリアで「プロシュット」(乾燥の意味)と呼ばれるが、中でも「プロシュット・ディ・パルマ」(パルマハム)と呼ばれるものは特別なのだという。
 「材料は豚、塩、空気、時間だけ」とPRする完全な自然食品。味が良いだけでなく、栄養的にも優れているそうだ。

王冠マーク

 パルマハム協会が(1)豚の産地と品質(2)生産地域(3)伝統的な製法(4)最終的な品質――をチェックし、認められたものだけに「Prosciutto di Parma」の王冠の焼印*が与えられる。
 製法には何と2000年の歴史があるのだとか。また「Prosciutto di Parma」はEUが原産地保護表示(P.D.O)として認めている。

工場外観

 パルマハム協会の販売担当・パオロさんの案内で、パルマ中心部から車で20分程度の製造工場を見学した。
 工場はパルマ地方南部の丘陵地帯に限られている。程よく乾燥し(ヨーロッパにしてはやや湿気がある感じ)、甘い香りのついた空気や気候が、自然乾燥に絶好なのだそうだ。

 使う豚は、イタリア中北部の認定養豚場約5000件で生育したラージ・ホワイト種、ランドレース種、デュロック種に限定されている。飼料も当然、特別に規定された穀物やシリアルを使用。さらに、パルミジャーノ・レッジャーノ(パルメザンチーズ)を作った時に残る余分な水分「乳清」を与えることが決められている。食べかけのプレーンヨーグルトに出て来る水分みたいなやつ。この乳清が、パルマハムの芳醇な香りの秘密なのだ。
 豚は10カ月程度、150キロ以上になると出荷される。使うのは、後ろ脚のもも肉だけ。一つ14キロぐらい。塩づけし熟成させることで10キロくらいの生ハムになる。

 まず、もも肉の形を整え、マッサージして血を抜き、筋肉をやわらかくする。

塩づけマエストロ

 ここで塩づけマエストロ*の登場! うまく熟成するかどうか、味が良くなるかどうか、この工程にすべてがかかっているのだ。長年の経験と勘がものをいう最も重要な工程なので、オーケストラの指揮者のように「マエストロ」と呼ばれている。

セラー

 室温1〜4度、湿度75%のセラーで1週間寝かせた後、もう一度軽く塩づけし、同じセラーで今度は2週間休ませる。
 次のセラー(室温4度、湿度65%)に移して約100日置く。表面に塩が白っぽく浮き出るので、ぬるま湯で洗い流して、さらに1週間乾燥させる。

長い窓の部屋

 縦に長い窓がたくさんある部屋で3〜4カ月つるしておく。
 この窓は生産者の判断で開閉する。空気が新鮮なら開いたり、湿度が高い時には閉じたり。室内は15〜16度くらい。美味しい空気のおかげで生ハムが美味しくなるというわけだ。訪れた時はひどい暑さだったため、窓は閉まっていた。

外側が硬い

 塩づけから始まって7〜8カ月が過ぎ、外側がだいぶ硬くなってきた。特に切り口は、皮がない分乾燥しやすい。
 硬くなり過ぎるのは良くないので、切り口にラード(豚の脂)を塗って保護する。

整然と並ぶ生ハム

 次の部屋。これが最終的な熟成のセラーになる。この部屋にも窓がある。室温は18度くらい、湿度も今までより高め。
 脚の左右を分けて整然とつるしてあるので、ずっと奥まで見通せる。「空気が生ハムをマッサージするように通り抜ける」とパオロさん。

品質検査

 12カ月たったところで、パルマハム協会の検査担当者を呼んでチェックしてもらう。
 パオロさんが検査を実演してくれた。手にもっているのは馬の骨。これを五つのポイントに突き刺してにおいをかぎ、熟成の具合などを見極める。

日本へ

 検査に合格した後も、最長3年くらいまで熟成させることができる。熟成期間が長いほど高価になる。これは日本のレストランが予約しているパルマハムで、もちろん合格済み。不合格のものには保存料などが加えられ「ただの生ハム」になる。

骨を取る

 出荷するための包装は、骨付きパック、骨なしパック、小さめの塊のパック、スライスしてパックと、いろいろある。
 骨なしパックにする工程を見学した。まず骨を取る。かなりの力仕事だ。

真空パックにする

 骨を取った裂け目を縫い、形を整えて真空パックにする
 みなさん黙々と作業している。イタリア人って、おしゃべりとかしながらいい加減に仕事してそうなイメージがあったけれど、真剣そのもの。先入観って良くないですね〜。

 すっかり生ハムに詳しくなったところで、味見しなくちゃ!と飼い主。
 パルマの中心部近くにある「トラットリア・イル・トリブナーレ」で夕食をとった。サッカーの中田英寿選手もオススメの店だとか。アットホームな感じの店だ。

 前菜にさっそく生ハム登場! 大きめの皿に、薄くスライスした「Prosciutto di Parma」と「クラテッロ」を4〜5枚ずつ取り分けてくれる。おお!クラテッロも食べられるのか、と感激!!

 クラテッロは生ハムの一種だけれど、パルマの北を流れるポー川右岸の肥沃な12の村でのみ作られている。特にズィベッロ村の「Culatello di Zibello」は、「Prosciutto di Parma」と同様、EUの原産地保護表示(P.D.O)が認められている。
 クラテッロは豚の後ろ脚の中でも、特に美味しい尻の部分しか使わないため、脚の形をしたプロシュットとは異なり、大きな手榴弾のような形をしている(このページの一番上の写真参照)。その美味しさは「奇跡の生ハム」とも形容される。

 まずプロシュットから味見。薄いのに、口に入れると意外に硬くしっかりしている。今まで食べた「生ハム」のように柔らかくない。しかし、少し噛むと口の中の温度でとろけてゆき、すぐになくなってしまう! 後には、熟成中の部屋に満ちていた<チーズと肉の香ばしさが混じりあったような香り>が鼻に抜けていく。
 これが本物の生ハムの味なのか、と驚く。というより、これが「本当の豚肉」の味なのだ。日本でいつも食べている豚では味わえなかった、野生っぽい味と香りがどこかに残っている。肉食文化の国の底力を見せつけられた感じ。

 それに、今まで日本で食べた「生ハム」はもっと生っぽくて、何だか頼りない食べ物だった。それもそのはず。日本で作られている生ハムの熟成期間はわずか2、3週間なのだそうだ。それって、プロシュットで言えば、塩づけして最初の冷蔵庫で寝かせただけってことか。そりゃあ、熟成というより「生」に近くて当然だ。

 続いてクラテッロ。パルマハムより美味しいと聞いていたが、確かに。より味がしっかりしている。クラテッロを食べるとパルマハムが薄味に思えてくる。ううむ。すごすぎる。

 飲み物はパルマ産の発泡性白ワイン。パルマのワインは赤も白も発泡性だと聞いたが、パルマハムには、すっきりした白の発泡性ワインがよく合う。また、パルマのパンは、周りは手でちぎれないくらいに硬く、中はボソボソしていて決して美味しいものじゃないのだが、これがまたパルマハムの濃厚さとよく合うのだ。やはり同じ産地のものは相性が良いように出来ているんだなあと感心させられた。


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